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題名:Dairy consumption has a partial inverse association with systolic blood pressure and hypertension in populations with high salt and low dairy diets: cross-sectional data analysis from the Iwaki Health Promotion Project.

(和訳:乳製品摂取と高血圧とは反比例の関係にある。塩分摂取多め乳類摂取少なめの青森県岩木町(旧)での横断調査より)


◎Kawata D,他8名

論文情報:Hypertens Res,48(4): p1409-1421,2025

(※「最新」の定義は掲載日から起算して1年程度としています)


新しい研究(トピックス)の紹介です。


【論文全体の要約】

 乳製品にはカリウムやカルシウム、リン、血圧を下げる生理活性ペプチドなどが含まれており、心疾患等の疫学研究やメタアナリシス分析でも血圧と乳製品摂取量に反比例の関係があることが示されています。もちろんこれらの結果は国内外で一貫した結論ではないのですが、この研究グループでは一貫した結果にならないことを、地域ごとの乳製品摂取量や塩分摂取量の違い(食文化の多様性)にあるのではと仮説を立てています。日本ではどうなのでしょうか。そこで研究者らは、これまでにも定期的に調査をしている青森県岩木町(現:弘前市)の住民1071人(平均年齢54歳)を対象に、健診結果の見直し調査(横断調査)を行いました。降圧薬の服用のない795人を最終的な対象としました。

 その結果、(日本人の食生活で多いパターンである)塩分摂取多め乳類摂取少なめの方々であっても、乳製品の摂取量向上が、収縮期血圧そのものや、高血圧のリスクと、有意に反比例していることが明らかとなりました。そのメカニズムとして研究者は考察のなかで、乳製品摂取量と収縮期血圧の両方に関係していたリン代謝が影響しているのではないかと主張しました。具体的には乳製品摂取による血中リン濃度の上昇が副甲状腺ホルモン分泌の低下につながり、動脈硬化などが是正され、血圧が下がっていくのではという考えです。またカリウムが血圧のみに有意に比例した結果ではあるものの、牛乳に含まれるカリウムも尿中のナトリウム・カリウム比を改善させ、血圧を下げるのではないかと主張しています。結論として、今回の結果は、アジアにおいて乳製品の潜在的な利点を明らかにできたとしています。

 なお研究の限界として、今回の研究は食事記録法では無くアンケート形式だったため乳製品の区別(牛乳とチーズの違いなど)は出来なかったこと、横断調査のため因果関係をはっきり言えないこと(特にリンの代謝)、調査対象者が農村部の高齢者が多かったの、3つを挙げています。(文責 K.K.)


【文責者の視点】

 この調査は青森県で行われた研究であり、東北で同じような共通項を持つ人(農村部の高齢者、塩分多め、乳類少なめ)にも当てはまるのではないかと思います。また隣の岩手県は北海道に次ぐ酪農王国です。

 したがって牛乳で高血圧予防などとする考えは、東北で働く管理栄養士ならではの取り組みにもつなげやすく、今回の論文がその根拠の一つになるのではと思いました。


Abstract

The prevalence of hypertension in Japan remains high, owing to the high salt content of the typical Japanese diet. Dairy-based foods may reduce blood pressure and hypertension risk. However, dairy consumption is low in Japan, and the relationships between dairy intake and blood pressure or the mechanisms by which dairy products affect blood pressure are not fully understood. This cross-sectional study was conducted as part of the Iwaki Health Promotion Project in Aomori, Japan. A total of 1071 participants were included from those who underwent annual medical checkups in June 2015. Adjusted multivariate linear and logistic regression analyses were performed to analyze the relationships between dairy consumption and blood pressure or hypertension risk. Comprehensive blood biomarker measurements were also performed. Whole- and high-fat dairy consumption was found to have significant inverse associations with systolic blood pressure (SBP) for all participants (β = –0.0213, P = 0.044) and with SBP and systolic hypertension risk for non-users of antihypertensive medicines (β = –0.0306, P = 0.011; and OR = 0.9927, P = 0.016; respectively). Three blood biomarkers related to phosphorus metabolism (inorganic phosphorus, intact parathyroid hormone, and interleukin-6) were associated with both dairy consumption and SBP. Dairy consumption had a partial inverse association with SBP and hypertension risk in a Japanese population with high salt and low dairy consumption. Analysis of blood biomarkers suggested that phosphorus metabolism is involved in the associations between dairy consumption and blood pressure.



多賀城市でGWに行われた「2025にゃっ展」で、藻塩作り体験イベントがあるということでサークル有志4名がお手伝い(ボランティア)で参加しました。

規模の大きいイベントで参加するだけで勉強になりました。カフェ紬の山城様、お誘いくださりありがとうござました (^^)


館内マップ(公式HPより)

学生が地域へ出向いて適塩・減塩をテーマとした活動をして6年目、ソルトサークルとして名を変えて4年目を迎えます。

今年は新1年生が2名入り、総勢9名になりました。今年も塩について色々と学びたいと思います。

ソルトサークルとして実質6年目を迎える今年、お塩に詳しい管理栄養士を目指して頑張っていきたいと思います。

2025年3月16日>

この日は2回シリーズの2回目(最終回)でした。新しく楽しい話をと、ポッカサッポロフード&ビバレッジ様よりサプライを受けて、血圧とレモン汁をテーマとした講座を行いました。昼食で作ったレモン焼きそば、レモンケーキ、レモンラッシーも大好評でした。新しい話を交えて楽しい時間となりました。

ポッカサッポロフード&ビバレッジ様、このたびは本当にありがとうございました。学生にとっても企業様との貴重な経験を積むことができました。



2024年9月12日>

この日は2回シリーズの1回目でした。栄養講座の他、塩分量に配慮した食事もお出ししました。美味しいと好評でした。


また喜んでもらえるよう頑張りたいと思います (^^)


2024年2月7日>まちづくり会議でご縁が繋がり、本年度ご依頼を受けて仙台市泉区将監南にある公民館で講座を行うこととなりました。まだ実績のない中でサークルにご依頼くださり本当にありがとうございます。精一杯頑張りたいと思います (^^)


3年前期までソルトサークルに所属したあと、3年後期に研究室に所属して「お塩に関する卒業研究」を行った先輩方がいます。


2025年 年度末>

この取り組みが本学の紀要に掲載されました。今後、地域の方々に知っていただけることを期待するところです。



2024年9月8日>

このたび先輩の研究が、第71回日本栄養改善学会で発表されました。

タイトル:ご当地塩を活用した減塩教育の取り組み


健康に気をつかう方でも、元気な方でも、一緒に安心して外食できるお店が泉区にはたくさんあります。


今年は泉区東部を中心に外食マップを作成しました。


リーフレットも作成。地域に配布し、どのような反響があるのかが楽しみです。


PS

2月のまちづくり発表会、3月の展示会で発表をしました。

題名:Development of a Culinary Intervention (Cooking Class) for Salt Reduction in Japanese Home Cooking: Strategies and Assessment.

(和訳:日本の家庭料理を元にした減塩の料理教室の考案:戦略と評価)


◎Miyuki Iwamoto,他3名

論文情報:AJPM Focus, 13;3(3):100227,p1-9,2024

(※「最新」の定義は掲載日から起算して1年程度としています)


新しい研究(トピックス)の紹介です。


【論文全体の要約】

 減塩は世界中の健康課題です。一方で減塩教育のための調理実習の有効性は確立していますが、多くの場合がケースバイケース的であり、再現性に苦慮するものもあります。目下、生文大ソルトサークルでも2023年度より地域への減塩調理実習を行ってきているため、色々な論文を参考にしたいと考えていることから紹介します。特にこの論文は福島県で行われた減塩活動の報告でした。

 さて、この研究グループでは他職種間で相談をし、まずは①一食の塩分2g以下、②当たり前の家庭料理である、③特別なスキルは不要の料理、④旬や実情に合わせてアレンジ可能な料理を、誰でもできる普遍性を期待する減塩活動プログラムの定義としました。そこから①~④をふまえ提供した栄養バランスを意識した調理実習では、豚肉の照り焼きでは塩分総量の制限を試み(1g/一皿)、シラスご飯(+シソとゴマ)は塩味を使わない料理として採用され、三種の野菜系の副菜にはスパイスやお酢、出汁等を活用して料理しました。なお今回は汁物・漬物は献立から排除しました。料理教室は8週間の介入期間のうち4週間目に1度行われ、約半数が受講しました。調理実習では自分で調味料を測るなど参加者に手を動かしてもらうことを心掛けました。

 その結果、調理実習を受けた集団ではそうでない集団と比べて、1.38g/日の減塩効果(尿中塩分排泄量が減った)が確認されました。また今回の塩分摂取量(推定値)については年齢や性別、体格、病歴、グループ関係なく、料理教室がマイナスに関わっている(減塩効果があった)ことも分かりました。したがって、このグループでは今回の成功を受けて、再現可能な減塩教室を示すことが出来たと報告しています。

 なお、この研究の調理実習の資料はいつでもインターネットで閲覧可能となっています(下記page not availableとなっていますが、pubmedのデータに繋がります)。

 なお研究の限界にて、一地域による結果であること、非ランダム化試験であること、別の知見の影響を否定できないこと、短期的な介入試験の結果であり長期的な効果となると不明なことなどを挙げていました。しかしながら住民参加型のこの取り組みは、今回有意に改善する結果を残しており、有効性が示されたと述べています。(文責 K.K.)


【文責者の視点】

 この調査は福島県で行われた研究であり、東北のほかの地域にも当てはまるのではないかと思います。一食2gと明確に示されている研究も少なく、実際に自分たちが減塩教室を行うにあたって参考になるのではないでしょうか。


Abstract

Introduction: Culinary interventions (cooking classes) are a potential educational tool for salt reduction in the home diet, but their content has never been reported in detail. This study aimed to develop a cooking class for salt reduction, describe its rationale and structure so that other parties could replicate it, and preliminarily assess its impact on salt intake.

Methods: A multidisciplinary research team developed a cooking class package to reduce salt content in the Japanese home diet. The package comprised its developmental policy, teaching methodology, a menu and recipes, and an implementation manual and aimed to allow third parties to replicate and modify the content. The team took the following step-by-step developmental approach. First, traditional home meals were modeled to create strategies contributing to a target of 2 g salt/meal. Then, educational topics were developed through these strategies, and finally, a dietitian produced menus and prepared documents for the class. The impact of the cooking class was assessed in a nonrandomized study of community residents. The outcome was differences in urinary salt excretion before and after the intervention. General linear models were used to account for the possible confounders.

Results: The authors assumed 4-7 g salt/meal from analyzing typical Japanese home diets and developed 3 strategies: (1) restricting salt content in the main dish, (2) maintaining good tastes without salty dishes, and (3) balancing nutrition with low-salt dishes. On the basis of these strategies, the authors selected a total of 5 educational topics that participants could learn and apply at home: 1a, a simple and reliable technique to limit salt in a serving; 2a, excluding salty dishes; 2b, staple foods with notable flavor and aroma; 3a, flavoring without salt in side dishes; and 3b, ingredients that should be used intentionally. The team dietitian translated these educational topics into a menu and recipes for hands-on training and prepared a manual for conducting the class. The class developed using this approach was successfully overseen by a dietitian outside the research team. In the validation study, the intervention group (n=52) showed a greater decrease in urinary salt excretion than the control group (n=46), with an adjusted difference of -1.38 g (p=0.001).

Conclusions: The authors developed a cooking class package for salt reduction so that third parties could replicate and modify the class. The significant salt reduction noted in this study warrants further studies to apply this cooking class to other populations.



山形県朝日町で行われた「あけび料理のレシピコンテスト」にソルトサークルのメンバー1名が参加しました。

ソルトサークルらしく天然塩(山塩)を使ったレシピを応募しましたが、みごと学生の部の特別賞をいただくことができました。

大変光栄なことで、サークルとしても励みになります。本当にありがとうございました。



PS

大学の公式HPにも紹介されました。


大学祭で別の団体が災害時の栄養のイベントを行っていました。


せっかくなのでソルトサークルも掲示物で参加しました。

具体的には避難所では保存食やストレスなどで血圧上昇のリスクが高いという注意喚起の掲示物です。

つたない掲示でしたが、地域の方へ何かをお伝え出来たなら幸いです。

ソルトサークル名物、究極の塩ラーメンを今年も出しました。もちろん無化調。今年は塩釜の藻塩を使いました。ハーフサイズで一杯300円です。

ありがたいことに昨年の1.5倍のスピードで売れて、土日とも昼過ぎには完売しました。

美味しいと言ってもらえるのが何より嬉しいです。来年はもっと仕込みたいと思います。

お越しくださった皆様方、ありがとうございました。

10月31日>

枝豆は全て収穫せず、大豆になるまで待っていました。今年のプロジェクトはこれで終了。次年度は何を作ろうか、みんなで検討します。


8月5日>

このたび立派に育ちましたので、夏休みに入る前に収穫しました。小さな花壇ですが結構な量の枝豆が収穫できました。気にしてくださった先生方ありがとうございました。

そして折角なので茹でる塩も天然塩にしました。どのお塩が一番ということは無かったのですが、お店でも食べられない「泉区産枝豆~天然塩仕立て~」をみんなで堪能しました。




7月3日>

枝豆の赤ちゃんを発見! まだ小指の1/3もない大きさです。


6月28日>

ついにお花が咲きました。小さくて可愛いです。ここから枝豆になっていきます。


6月中旬>

水やりの様子です。専用のじょうろも買いました。


6月21日>

二週間が過ぎ、だいぶ大きくなりました。陽気も暑くなりました。スクスクと育っています。



6月7日>

1日目の様子。根付いて育ってくれればと思います。



6月6日>

本年度は苗からのスタート。サークルメンバーで色々と考えます。



5月31日>

5号館脇の花壇の横を開墾しました。まずは土壌づくりから。



2024年5月1日>

学外ばかりでなく、学内イベントもということで、本年度から「お塩deお野菜プロジェクト」が始動。2024年度の野菜は「枝豆」としました。収穫して塩ゆで or 塩をまぶして食べるのが楽しみです。ずんだが有名な地域ですが、泉区の気候で作った枝豆には、どのようなお塩が合うのでしょうか? 今から収穫が楽しみです (^^)